くずもち雑煮日記帳

気が向いた時に、気の向くままに。 PSO2の事とか色々。

小説…というか、メモ帳。 思いついたこと、書きたい事を、唯つれづれと。

ソルヴェ編

そこは、煤汚れた牢獄の様な場所だった。

私の首にはまるで、飼い犬の様な首輪が付けられている。 フォトンの力を抑制するもの、と、私を利用する男たちは卑下た表情で言っていた。

その男の一人に、私は後ろから羽交い絞めにされ、立たされている。 …目の前には、赤い髪の少年が悲痛な表情を浮かべながら叫んでいた。

「止めてよ! 僕が、僕が言ったんだ、逃げようって! その子は悪くない…っ!」

私と同じ首輪を付けられ、壁から伸びた手錠に拘束されながらも…男の子は暴れ、抜け出そうとしている。 …私たちは、フォトンを使えなければ只の子供だった。

それでも大人しくならない少年に対し…薄汚れた白衣を纏い、痩せた男がにやにやと笑いながら近づいていく。

…この男は、私を"買った"。 そして、私はこの男に命じられ…沢山の人間を傷付けた。

「くくっ、君のようなバケモノでも…こうなってしまえば形無しだな。 もっとも、ここ以外のシップじゃ君のお仲間がうじゃうじゃ居るが…」

男は部下の人間から、鉄で出来ているであろう棒のような物を受け取る。 少年の前に立つと、その棒を大きく振り上げ…

「ぐが…っ!?」

少年の、後頭部に勢いよく振り下ろした。

鮮血が飛び散り、私の顔にかかる。

「自分を恨むといい。 …その力のせいで、君達はこうなっているのだから」

私は叫んだ。"止めて"、と、何度も叫んだ。

「あぁ…?! が、う、あ、ぁあ…!」

しかし男は、その声に耳を貸さなかった。 それどころか、叫ぶ私の声を何処か愉しんでいる様子だった。
幾度も、男は少年の頭を叩きつけるのだ。 やがて彼が呻き声も出さず、首を垂れた頃に…息を切らした奴は、此方を見る。

「それだよ」

その男は、とても愉快そうに笑っていた。 少年の血で赤く染まった手で、私の頬へ手を伸ばす。

「その表情だ。 君は何をしても、どんな事をしても、表情がなかった。 悲しみや憎しみに顔を歪ませてくれなかったね。…ああ、想像通りだ。 涙を流す君は、悲観にくれた君の眼は、何よりも美しい…」

男に指摘され、私は初めて自分が涙を流していることに気が付いた。 奴は私の頬に滴った涙を拭うと、 その指を舐めしゃぶり、嬉しそうに目を細める。

「美しい紅と蒼…とっても悩ましいけれど…」

「…あぐ、や、やめ…」

気が付いた少年が、私と彼を見て辛そうに声を出す。

それを聞くと、口角を釣り上げて…とても嬉しそうに、そしてぞっとする笑みを浮かべた。

やがて指を、再び私の顔に伸ばし…そして。

―見開いた私の左目に、躊躇なく突っ込んだ。

「やはり飾るのなら…ふふ、紅だね。 血のように真っ赤で、絶望に霞んだ、素敵な紅…」

余りの激痛に、頭の中が真っ白になる。 狂乱し、振りほどいた手で、咄嗟に左目を押さえた。

…見えない。 左目の、あったはずの視界が、全く見えなくなっている。 血がまるで水流の様に溢れ出す。

痛い、痛い、痛い、痛い!

上手く声にならない。 何が起きているのかも、頭が理解するのを否定している。

そんな私の、残された視界に入ったのは…愛おしそうに、血に塗れた丸い其れを…舌で舐めている醜悪な男の姿だった。

「ずっとずっとずっと、欲しかった、欲しかったんだぁ…ふふ、あは、あはははは! 素敵だなぁ」

ラウク編

赤く燃える部屋の中で、手を握る。 半身が本棚の下敷きになった彼女の右腕は、それでも弱々しく僕の手を握り返す。

煙と抑えきれない感情に視界が歪むが、彼女は僕の顔を見て力なく微笑んだ。

「そんな顔、しないでよ。 君は大丈夫。 …私がいなくても」

その言葉の続きを聞きたくなくて、首を横に振る。 しかし彼女は、気丈に僕の目を見つめ、言葉を紡ぐのだ。

「ねぇ聞いて。 君には、力がある。 私が欲しくて、妬んで、…そして、憧れた力が。 …だから、ね」

彼女は自分の首元に、肌身離さず掛けていたゴーグルを外す。 そしてそれを、手をとっていた僕の手に握らせた。

「私の想いを…託させてくれないかな。 君は、君が憧れた…正義の味方に成れる。…だから」

彼女が、手を振り払う。 寂しそうな、悲しそうな。 そんな表情を浮かべてから。


「その力を、正しい事の為に使って」


焼け落ちた屋根の破片が、彼女の―






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